■ エキシマUV照射装置 ■
<UV(紫外線)の応用分野>
 *塗料、インクの乾燥、硬化
 *公害物質の光分解
 *光化学
 *表面改質
 *成膜
理論的、実験室では種々のスペクトル特性のUV(紫外線)ランプの効果、有効性が確認されている。 しかし、製造工程の応用には、有効なスペクトルを高出力、高効率で放射するUVランプが少ないのが現状である。 多くのUVランプは水銀、またはキセノン、希ガス等が封入されており、共通する特性は、広い波長範囲のスペクトルを放射する。 不必要なUV波長だけではなく、可視光線、赤外線も放射される。



<エキシマUVランプ>
エキシマUVは独特の発光スペクトルを持っており、準単一波長を高出力で放射する。 ある種のガスを励起状態から、インコヒーレントなエキシマが発光される。 この独特な発光スペクトルより、エキシマレーザーとも呼ばれている。

異なるガスが封入された三種のエキシマUVランプの放射スペクトルである。

 ↓ クリックすると写真にジャンプします
 キセノンエキシマ(λ=172nm)
 クリプトンクロライド(λ=222nm)
 キセノンクロライド(λ=308nm)

多くのガスでエキシマが確認されており、異種ガスの混合により、必要な単一波長を放射するエキシマUVランプの製作も可能である。 既存のUVランプとエキシマUVランプとのもう一つの大きな違いはUVV(Vacuum UV、真空紫外線)領域で高出力の放射が得ることができる。



<エキシマの利点>
 *準単一波長、インコヒーレント放射スペクトル
 *封入ガスの種類、混合比で、必要放射波長を選択可能
 *シンプルな構造
 *ランプ形状が柔軟
 *高出力のUVV(真空紫外線)スペクトル
 *Cold、被照射体に熱エネルギーを与えない
 *瞬時点灯、Mode Operationが可能
 *電極が発光管の外部
 *オゾンフリーが可能

これらの利点のそれぞれが新分野に応用の大きな可能性を持っている。
多くのUV吸収を利用するプロセスは高出力の単一波長で可能であり、不必要なUV波長は悪影響を及ぼすことがあり、特殊なフィルターを設ける必要等がある。



<エキシマUVランプの構造と原理>
エキシマUVランプの基本構造は、セルは中空円筒形の石英管で、エキシマガスはこの密閉された石英のセル内に封入されている。 電極がセルの外筒表面と内筒側にあり、外筒表面の電極は金属編み目状で、間隙よりエキシマが放射される。 円筒状の放射体だけでなく、平板状等の光化学用リアクターに合った形状のエキシマUVランプの製作も可能です。

エキシマは無声放電;誘電体バリア放電によって励起される。密閉された石英セル内に放電ガスが封入されており、電極はセル外に設けられている。 両電極に交流の高電圧を印加すると、石英セル間隙(2つの誘電体間)で、細い針金状の放電プラズマよる電流が瞬間的に流れ、エキシマはこの放電プラズマ条件下のみで発生する。 非常に短い電流パルスがエキシマ発生に重要である。 放電プラズマ内の高エネルギーの電子は、エネルギーのcarrierとして、放電ガスの原子、分子の励起に必要な時間のみ存在する。 ナノセカンドの短い時間、放電ガスの原子、分子は電子との衝突でそのエネルギーを奪い、励起状態となる。 衝突で急激に速度が低下した電子は、他の原子を励起状態とするため、再励起される。 一方、励起状態の放電ガスの原子は、今度、中性原子として衝突し瞬間的にエキシマ状態(Xe*)となります。

e+Xe+Xe → e+Xe+Xe* → Xe*2+e

エキシマ状態は不安定で、瞬時に元の状態(基底状態)に戻るとき、エネルギーを、そのエキシマ特有のスペクトルを発光します。

Xe* → 2Xe+UVPhoton(172nm)



<エキシマの応用例>
エキシマの応用の1例を紹介すると、種々の基板(Substrate)表面に金属の成膜である 成膜技術は、プリント基板や広い面積への成膜、例えば電子、電気、光、センサー、ディスプレー、情報等の分野で広く要求されている。 従来の成膜は複雑で、設備費も高い、例えば耐熱温度の低い基板にパターン成膜する方法等である。 光化学はこの分野で大きな技術改革となる。

エキシマUVランプは、単純、経済的、かつ環境に優しく、従来の金属成膜で発生する種々のの問題も解決できる。 例えば、パラジウムアセテートの選択的光分解の性質を利用し、キセノンエキシマ(172nm)、UVVの照射で薄いパラジウム核が生成される。 薄いパラジウムの膜は、化学的金属成膜槽の活性剤のような働きをし、その上に銅、ニッケル、金等の膜が成長、生成される。 この様に、新しいエキシマ技術で、各種基板に複雑な金属膜のパターンを、簡単に、経済的に生成できる。 従来の方法、真空蒸着、スパッターリング等で必要な高価な真空炉を必要としない。




●有効な波長を高い出力で放射

●赤外線照射がなく、Cold、被照射体に熱エネルギーを与えない

●高出力のUVVを放射

(真空紫外線:172nm)
従来の低圧紫外線ランプでは不可能な、高出力の真空紫外を放射


172nm


222nm・308nm共通